『明治・大正のかわいい着物 モスリン』(似内恵子著・誠文堂新光社)が
できてまいりました。
この度は編集をさせていただいています。
はじめに企画を聞いてモスリンのことを調べたところ、
戦後はモスリンの本がなんと一冊もないことに気づきました。
(いや、戦前にも、図案などではないモスリンの本は、
おそらく『毛斯綸大観』1934 しかないのです。)
ですので京都古布保存会のモスリン・コレクションを掲載するだけではなく、
この一冊でモスリンのことがあれこれ分かる本にしよう、ということになりました。
明治維新前後に日本にもたらされたウール・モスリンは、
着物という日本独自の衣裳の中で、また、
日本人の「意匠しなければ気がすまない民族性」によって
さまざまな図柄に染められながら、
着物がすたれ、化繊が台頭する戦後までさかんにつくられます。
「平織りのため弱い生地である」ことや「(絹に比べて)虫がつきやすい」ために、
絹よりも軽く見られたモスリンですが、
「手触りがやわらかい」「染めたときの発色が美しい」ため、
今日では好んで使うデザイナーさんや染織作家さんもおられます。
確かに、化繊と比べると、モスリン(ウール・モスリン)は、
段違いによい素材なのです。
そのようなわけで、未来のモスリン・ルネッサンスをも夢見ながら、
編集いたしました。
どうぞよろしくお願いいたします m(_ _)m